遺伝や育った環境は、単なる「材料」でしかない。
わたしたち心理カウンセラーは、必その方がどんな環境で育ったのかを少しずつ聴いていきます。ニュースでは、犯人がどんな人物で、どんな家庭環境だったかを取り上げます。
遺伝や育った環境が人生に影響を与えることは間違いのない事実だからです。
遺伝はもちろん、両親が「厳しく育てたのか」「干渉しすぎたのか」などの環境は、わたしたちの人格形成に影響を与えています。
しかし、その影響は限定的で、それらがすべてではありません。
たとえば、引っ込み思案になった人は、両親から口うるさく言われたことのみが原因で、引っ込み思案になったのでしょうか?
自分が自分自身の判断で、引っ込み思案になることを選んだだけなのです。
そうなる以外の選択はいくらでもあるのです。
口うるさい両親と論争することで、自立心の強い性格となることもできるでしょうし、
両親を見ながら、「自分は違う考え方だな」と冷静な分析眼をもつこともできるでしょう。
両親を反面教師にして、「自分は口うるさく言わずやさしく見守る性格になろう」と思うこともできるのです。
遺伝や育った環境は、傾向でしかありません。引っ込み思案になりやすい傾向は事実としてあるのですが、その上で、そうなりたくなければ、ならない選択もできる。ということです。
アドラーは、生まれ持った材料(遺伝や生育環境)が同じでも、常に同じ家(人生)が出来るとは限らない。と述べています。
ある人はお洒落な洋風の家を建てるでしょう。
またある人は和風の家を建てるかもしれません。
材料はあくまでも材料にすぎず、それをどこでどのように使うのか、選択する自由を私たちは持っています。
今のあなたの人生は、生まれ持った材料を使って、自分で選択して建てた「あなた自身の家」なのです。
そして、これからまた違う家を建てたければ、建てることだってできます。
遺伝や環境のせいで、この人生しか選べなかったなんて、そんな悲しいことがあるでしょうか。
変えたいと願えば、変えられる。
自由に自分の建てたい家を建てられるのなら、あなたはどんな家を建てたいですか?